旦那が浮気!不倫慰謝料請求の内容証明郵便の書き方と文例
夫や妻に不倫されたら、不倫相手がどうしても許せない、慰謝料を請求したい、という方も多いでしょう。
とは言え、不倫慰謝料請求や問題解決という点では、ただ感情を相手にぶつけたり、電話等で連絡を取ったりすることはあまりおすすめできません。
この記事では、不倫慰謝料を請求する際に効果的な内容証明郵便の書き方と注意点について解説します。
このコラムの目次
1.不倫慰謝料を内容証明郵便で請求!
(1) 内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、いつどのような内容を送ったかを証明できる郵便です。差出人と郵便局に文書の謄本が保存され、日付も記録されます(郵便局の保存は5年間です)。
この記録により、いつ、誰から誰宛に、どのような内容の文書が送られたかを証明することができます。
取り扱いのある郵便局や、電子内容証明郵便サービスを利用し、通常1,500円~3,000円程度(ただし、送付枚数に応じ増額となる)で送ることができます。弁護士を立てず、自分で作成することも可能です。
(2) 内容証明郵便で請求するメリット
①時効中断の証明
不倫慰謝料は民法上の不法行為に基づく損害賠償として請求することになりますが、これには時効があります(民法724条)。
もう間もなく時効になってしまう場合、早めに請求して時効完成を阻止しなければ、もはや不倫慰謝料を請求できなくなってしまいます。
まずは相手に請求することで、6ヶ月は時効完成を防ぐことができます(改正前民法153条、改正民法150条1項)。この場合、6月以内に、裁判上の請求等を行うことが必要です(改正前民法147条、153条、改正民法147条等)
とは言え、口頭や通常の郵便では、言った言わないの争いになりかねません。
そこで、内容証明郵便を用いることで「確実に時効完成前の何月何日に請求した」ということを証明することができます。
また、もし後日に不倫慰謝料請求で訴訟になったとしても、時効が完成していないことを立証しやすくなります。
②心理的効果
内容証明郵便は、普通郵便と異なり書留郵便になりますので、配達員から手渡しされ受領サインも必要です。
不倫慰謝料などの請求の場合、請求の内容ももちろんですが、相手が受け取るときの印象というのも重要なポイントです。
内容証明郵便を使うことで、普通郵便よりは「何か対応しないといけない」という意識を相手に持ってもらいやすくなります。
2.不貞行為を内容証明郵便で請求する文例
下記は最低限の内容と例文ですが、概ねこのような文章を作成します。
以下で、それぞれの書き方のポイントについてご説明します。
3.不倫慰謝料請求の内容証明郵便の書き方とポイント
(1) 書くべき内容
不倫慰謝料を請求するにあたって、内容証明郵便で書く内容は基本的に次のとおりです。
- 日付と宛先
- 自分が誰であるか
- いつどのような不倫(不貞行為)が行われたかの事実
- 不倫によって自らの婚姻生活が破綻したこと
- これらによって精神的損害を受けたこと
- 相手の不貞行為について慰謝料いくらを請求すること
- 支払期限及び支払い方法
- 請求に応答がない場合の措置について
それぞれについて簡単にご説明します。
日付と宛先
内容証明郵便は、本文に日付を記載しなくても郵便局で記録してくれますが、より証拠としての確度を高めるため、本文にも日付を記載しておくと安心です。
また、宛先も本文に記載しておくとよいでしょう。
自分が誰であるか
当然ですが、誰からの請求か分からなければ意味がありません。
「◯◯の妻(夫)です」のように、不倫していた自分の配偶者の名前を出し、相手にもすぐ伝わるように書きましょう。
いつどのような不倫(不貞行為)が行われたかの事実
不倫慰謝料を請求するからには、不倫があったことを指摘する必要があります。また、慰謝料を請求するには、その不倫が民法上の不貞行為(民法770条1項1号)である必要があります。
いつ、どこで、どのようなことがあったのか、どの程度の頻度で不貞行為が行われているのかなど、具体的な事実を摘示して記載しましょう。
相手としても、抽象的に書かれると「言い逃れできる」と思ってしまいますが、具体的に日時や場所まで書かれると「これはまずい」と感じます。
こうすることで訴訟を経ずに支払ってもらえる可能性が高くなります。
不倫によって自らの婚姻生活が破綻したこと
不倫があったとしても、自分の婚姻生活に影響がなかったり不倫前から婚姻生活が破綻したりしていると、原則として慰謝料を請求できません(最判平成8年3月26日)。
相手が不倫したことで、自分の婚姻生活がいかに影響を受け、不倫があってからどのように破綻したのかを記載しましょう。
ただし、ここで感情的になっても争いの種になるだけですので、冷静に書くように注意してください。
これらによって精神的苦痛・損害を受けたこと
不倫や婚姻生活の破綻によって、自分が精神的苦痛・損害を受けたことを記載しましょう。
不倫慰謝料はこの精神的損害について発生するため、これを書かなければ慰謝料の根拠になりません。
ショックで眠れなくなった、食事もしばらく食べられなかったなど、実際の状況を記載すると効果的です。ここでもやはり感情的にならないよう、事実を淡々と書くようにしましょう。
慰謝料いくらを請求すること
これまでに書いてきた事実や精神的損害について、「慰謝料いくらを請求する」ということを記載しましょう。
不倫慰謝料の金額については、状況によって幅がありますが、内容証明郵便では概ね200万円~300万円で請求することが多いです。
また、相手に支払ってもらうため、振込先の銀行口座等を記載しましょう。
ここでは、◯月◯日までや、1週間以内などのように、期限の記載も忘れないようにしてください。
応答がない場合の法的措置について
最後に、今回の内容証明郵便に何も応答がない場合、訴訟などの法的措置を検討することなどを記載しても大丈夫です。
絶対に不倫慰謝料を支払ってもらいたいという強い意思がある場合は、こうした内容も記載しましょう。
ただし、ネット上での公表や勤務先へのリークを盾に取るなど、いわゆる私的制裁は厳禁です。こちらが不法行為責任を負う、名誉棄損罪・脅迫罪等に問われる可能性もあります。
あくまで正当な法的措置のみを記載しましょう。
(2) 内容証明郵便の注意点
用紙の規定はないが、書き方の細則がある
内容証明郵便は、専用の用紙も市販されていますが、普通のコピー用紙等に書いても構いません。また、印刷したものでも大丈夫です。
ただし、原則として日本語のみ使用可能で、固有名詞に限り英字を使うことができます。
また、内容証明郵便は相手に送る文書1通と、謄本2通を作成しますが、謄本についてのみ下記のような字数及び行数の制限があります(誤解されがちですが、内容文書には字数及び行数の制限はありません)。
【縦書き・横書き 字数・行数の制限】
横書きの場合
・1行20字以内かつ1枚26行以内
・1行13字以内かつ1枚40行以内
・1行26字以内かつ1枚20行以内縦書きの場合
・1行20字以内かつ1枚26行以内
不倫の事実の証明にはならない
内容証明郵便と言っても、証明されるのはあくまで「記載した内容の郵便を送った」ということで、内容の真実性を証明するものではありません。
そのため、訴訟になっても、内容証明郵便が証拠として活用されるのは「いつどんな請求をしたか」ということだけです。
不倫の事実については別途調査等を行い、証拠を固めておきましょう。
法的な強制力はない
内容証明郵便で不倫慰謝料請求をしても、それ自体に法的な強制力はありません。
そのため、相手が支払わなかったり、回答を拒否したりしていたとしても、直ちに強制執行などで不倫慰謝料を支払ってもらうことはできません。
不倫慰謝料の支払いを法的に強制したい場合には、基本的には訴訟を提起することになります。
4.内容証明郵便の書き方に迷ったら弁護士への相談を
不倫慰謝料の請求や内容証明郵便の利用は、もちろん個人で(自分で)もできることです。
しかし、内容証明郵便ついては、通り一遍なものから、より効果的な書き方まで様々です。
また、書き方を誤るとかえって争いを激化させてしまうこともありますし、それぞれのポイントについても法律上の根拠に基づいて記載する必要があります。
「旦那(妻)の浮気相手に内容証明郵便で慰謝料請求したい」という方、内容証明郵便をどう書けばいいのか分からない方は、まず弁護士に相談してみましょう。
千代田区、中央区、港区、台東区、文京区、JR各線(山手線・京浜東北線・総武線)、東京メトロ日比谷線沿線などにお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所秋葉原支店に是非一度ご相談ください。
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