刑事事件

盗撮で検察庁から呼び出しされたらどうすれば良い?

家にいたら検察庁から電話がかかってきて「盗撮の件で話を聞きたいから検察庁まで来てくれ」という呼び出しを受ける場合があります。
身に覚えがある無しにかかわらず、こんな電話がかかってきたら、非常に不安に思うでしょう。

しかし、検察庁から呼び出されたからといって、これに応じる義務があったり、応じないと必ずすぐに逮捕されたりするわけではありません。

ご自身の今の状況を鑑みて、適切に対処することが大切です。

以下では、盗撮で検察庁から呼び出しをされる理由や、拒否したらどうなるか等を解説します。

1.盗撮で検察庁から呼び出される理由

盗撮事件で検察庁から呼び出しを受けるのは、以下の場合です。

(1) 被疑者としての呼び出し

まず、盗撮事件の被疑者として呼び出されたケースが考えられます。

この場合、警察での捜査が先行していますから、検察から呼び出しがあっても、驚く人はいないでしょう。

警察が捜査で集めた証拠類は、あなたの供述調書も含めて、すべて検察官の手元に送られています。検察官は警察の捜査内容を鵜呑みにして信用するわけではなく、法律家としての視点から各証拠をチェックし、その内容の真偽を検討し、改めて事実を確認します。

証拠が足りなければ、警察に補充捜査を指示することもあります。そのうえで、起訴するか否かを決めるのです。

被疑者を呼び出して検察官が取り調べ、警察は別に供述調書(検察官調書)を作成するのも、このような捜査の一環なのです。

この場合、「検察庁から被疑者として呼び出されているのだから、断ることはできないのでは…」と考えるかもしれません。

しかし、この呼び出しはあくまでも任意のものです。そのため、呼び出しを拒否したり、一度呼び出しに応じても途中で帰ってきたりすることも可能です(刑事訴訟法198条1項)。

刑事訴訟法198条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる

(2) 参考人としての呼び出し

次に、盗撮事件の参考人として呼び出されたケースが考えられます。つまり、盗撮事件の目撃者や、被疑者に関係する者として呼び出され、事件に関する情報を話してもらおうというわけです。

多くの場合、参考人は既に警察でも話を聞かれていますが、必要性があれば、検察官からも確認を受け、やはり警察の調書とは別に検察官調書が作成されます。

被疑者としての呼び出しと同様に、参考人呼び出しに応じるかも任意です。そのため、呼び出しを拒否したり、出頭後にすぐ帰ってきたりすることが可能です。

2.検察庁からの呼び出しを拒否した場合

先述の通り、被疑者・参考人共に、検察庁からの呼び出しを拒否することが可能です。
もっとも、呼び出しを拒否すると以下の事態になる可能性があります。

(1) 被疑者の場合

被疑者が、検察庁からの呼び出しを拒否すると、被疑者に「逃亡のおそれ」や「罪証隠滅のおそれ」があると判断され、逮捕される可能性が高いです(刑事訴訟法199条2項、刑事訴訟規則143条の3)。

(2) 参考人の場合

参考人の場合は、盗撮の犯人と疑われているわけではないので、逮捕されることはありません。

もっとも、以下の場合、検察官は裁判官に、その者に証人尋問をしてもらうよう請求することが可能です。

①犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、任意の取り調べに対して、出頭又は供述を拒んだ場合(刑事訴訟法226条)
②任意取調べの際に供述をした者が、後に裁判において異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合(刑事訴訟法227条1項)

この請求が認められた場合、参考人は証人尋問を受けることになります。これは、捜査機関は参考人に対して強制力を行使できないので、裁判官に強制的に取り調べてもらうための制度です。

したがって、任意である呼び出しとは異なり、証人尋問を拒否することはできません。

3.呼び出しを受けた場合の対応

さて、実際に検察庁から呼び出しを受けたらどうすればいいのでしょうか?

(1) 呼び出しに応じるべきか?

参考人としての呼び出しであれば、捜査に協力するかどうか、各人の判断にお任せします。
進んで協力することが市民としての義務だと考える方もいるでしょうし、法的な義務がない以上、応じる必要はないという方もいるでしょう。どちらも間違いではありません。

ただ、「参考人として話を聞きたい」と打診されても、実は、その段階から被疑者としてマークされていたというケースは珍しくありませんから、盗撮に身に覚えがある方は「参考人」と言われても安心するべきではありません。

被疑者の場合は、拒否すれば逮捕される可能性が高い一方、現時点で在宅捜査(被疑者の身体拘束をせずに捜査をすること)が進んでいる以上、呼び出しにしっかり応じれば、後に身体拘束される可能性は高くないといえます。

しかも、素直に出頭しないと、反省していないと判断されて、起訴猶予を得られなくなったり、略式起訴での罰金刑ではなく、正式起訴されて公開法廷での裁判を受けたりするはめになりかねません。

そのため、一般的には、検察官からの呼び出しには潔く応じることがおすすめです。

(2) 早急に弁護士に相談

検察官の呼び出しに応じても、そこで何を聞かれるか不安だったり、何を話したら良いか分からなかったりすると思います。
そこで、指定された出頭日までに、事前に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士は、検察官から呼び出しを受けた方に、取り調べで何を答えたらいいか等の具体的な助言を行ってくれます。

検察官から話を聞かれることに慣れている人はほとんどいないと思います。弁護士から、検察官との面会についての情報や助言を受けることで、確かな心構えをした上で検察庁に行くことが可能になります。

また、被疑者の場合、相談を受けた弁護士は被疑者に有利な証拠等を検察官に伝達したり、被害者との示談交渉を行ったりと様々なことを行ってくれます。そのため、盗撮を疑われている被疑者は、早急に弁護士に相談することをお勧めします。

4.刑事事件のご相談は弁護士へ

実際、自分が検察庁に呼び出されたら不安に思うでしょう。この不安を解消するためにも、弁護士に相談をするべきです。

特に、被疑者の場合は、早期に弁護士に相談することで、取りうる手段も多くなります。

刑事事件にお悩みの方、検察庁から呼び出しを受けたという方は、刑事弁護の実績豊富な泉総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

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