債務整理

個人再生をすると掲載される「官報」とは?

個人再生をすると、氏名や住所が「官報」というものに掲載されて公開されます。

「官報に掲載されるとどうなるの?」
「公開されたくないから、載らない方法があるなら知りたい」
このようなことを考えている方々のために、ここでは、個人再生と官報について様々なことを紹介していきます。

個人再生をする前に不安を払拭したい方は、ぜひ本記事をお読みください。

1.個人再生とは?

まずは、個人再生について簡単に紹介します。

「裁判所に申立てをして借金を大きく減額してもらい、残った借金は毎月少しずつ返済する」のが、個人再生の概要です。
手続は複雑ですが、借金を大幅に減らせるうえに、「住宅ローン特則」という制度を使えば、住宅ローン支払中の持ち家を手元に残すことができます。

住宅ローン特則を利用した場合、住宅ローンの支払いは従来通り行わなければなりませんが、自己破産と違ってマイホームを処分せずに済むのは大きなメリットです。

個人再生には2パターンあります。

小規模個人再生」は、個人再生後の支払額を抑えやすいものの、債権者の反対があれば行うことができません。
一方、「給与所得者等再生」は個人再生後の支払額が上がりやすいものの、債権者の意向に関係なく行うことができます。

ただし、どちらの手続でも官報には掲載されてしまいます。

2.官報について

ここからは、官報について説明していきます。

(1) 官報とは

官報は「日本国の機関紙」です。行政機関の休日を除く毎日発行されています。
各都道府県庁の販売所や、大きな図書館などに置いてあります。過去30日以内の官報はインターネットで無料公開もされています。

官報には様々なことが記されているので、一部を紹介します。

  • 法律・内閣府令・省令などの制定・改正
  • 皇室や国会に関する事柄
  • 閣議決定事項
  • 一定以上の役職の公務員の人事異動(一定以上の役職公務員人事)
  • 国際収支の状況
  • 日本銀行営業報告
  • 国家試験の実施要領や結果
  • 高速道路会社の工事開始や完了
  • 会社の合併や決算公告
  • 破産・再生・会社更生関係の事柄

最後の「破産・再生・会社更生」が個人再生に関わることであり、これがあるために個人再生をすると官報に載ってしまいます。

(2) 官報に載る理由

簡単に言えば、「債権者が個人再生に参加する機会を与えるため」に、官報への掲載が行われています。

個人再生は債務者にとってありがたい制度である一方で、債権者の権利を大きく損なう制度でもあります。

債権者が個人再生のことを知り、例えば債権の届出を裁判所に提出したり、個人再生の申立人が裁判所に提出した再生計画(返済計画のようなもの)に異議を唱えたりできるように、官報で公告しているのです。

残念ながら、官報に載ることは回避できません

(3) 官報にはいつ載るのか

個人再生をすると、トータルで3回官報に載ります。

①個人再生の開始決定があったとき

裁判所に個人再生を申立てしてから約1ヶ月です。

②債権者に知らせる必要があるとき

小規模個人再生の場合、債権者が個人再生に反対する機会があるため、それができる期間を知らせるために官報で公告されます。

給与所得者等再生の場合は、個人再生に意見を出せる機会があるため、その期間が公告されます。

③再生計画を裁判所が認可したとき

要するに個人再生の手続が終わったときです。

この認可決定の掲載から2週間経過すると、再生計画の認可が確定され、債務者が月々の返済を始めることになります。

3.官報に載るデメリット

では、官報に載ると具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか?

(1) 知人友人に個人再生を知られてしまう可能性

多くの人が不安になるのはこれでしょう。

官報は、日本全国誰でも読むことができます。インターネット官報であれば海外からもアクセス可能です。

「たまたま官報を見た知り合いに、個人再生のことを知られてしまうかも…」と思うのも無理がないかもしれません。

しかし、官報には毎日何人分もの自己破産や個人再生の情報が載っています。
そこから個人をピンポイントで「たまたま見つける」こと不可能ではないにしろ、かなり難しいと言わざるをえません。

たとえ「自分の個人再生のことがこの官報に載っている」と知っていたとしても、その中から自分の名前を探し出すことさえ難しいでしょう。

そもそも、官報を日常的に読む知り合いがどれだけいるでしょうか?
官報を手に取るどころか、目にしたことすらない人も多いはずです。

もっとも、たまに「勤務先で官報を取っているが」と心配される方がいらっしゃいますが、会社が官報を取得する理由はそのほとんどがその事業に関する「内閣府令・省令の制定・改正」や監督官庁の「人事異動」に関する情報を得るためであり、破産や個人再生に関する情報を得るためではありません

したがって、官報から知人友人に個人再生の事実が知られてしまう可能性は「ゼロではないけれど非常に低い」と言って問題ありません。

(2) 悪徳業者から連絡があるおそれがある

官報には住所と氏名が載っています。
悪徳業者、例えば闇金融などが官報を見て自己破産や個人再生した人を調べ、その人のところに連絡するかもしれません。

自己破産や個人再生をした人は、手続後は、信用情報との関係で一定期間、通常の金融機関や貸金業者からお金を借りたりクレジットカードを使用すること難しくなるのが通常です。

これを知っている闇金融等が、「私共ならお金を貸してあげられますよ」と近寄ってくる可能性があるのです。

特に最近の闇金融は「ソフト闇金」等と言われて、一昔前のような取り立ては行わず、にこやかに和やかに優しい態度で接してきます。
その雰囲気にだまされて、ついお金を借りてしまう人もいるようです。

官報に載っているたくさんの自己破産または個人再生をした人の中から、悪徳業者が自分をピックアップして声をかけてくる可能性は高くありませんが、万が一ということもあるので念のため覚えておきましょう。

(3) 官報公告費用がかかる

厳密には「官報に掲載されるデメリット」ではありませんが、個人再生をする人全員に関わることなので一応説明します。

個人再生を申立てするには、種々の手数料と一緒に「官報公告費用」を裁判所に支払わなければなりません。

「官報に載りたくないのに、なんで自分が払わなきゃいけないの!?」と思われるでしょうが、決まりごとなのでこればかりは仕方ありません。

東京地裁で個人再生をする場合、13,744円必要です(2020年2月現在)。
金額は変更される可能性があるので、裁判所や弁護士に問い合わせて最新の情報を確認してください。

4.官報を過度に不安がらず、弁護士へ個人再生の相談を

官報に個人再生のことを掲載されても、それが原因で知人友人に個人再生の事実が知られてしまうことはほとんどありません。
また、官報を見た悪徳業者が訪ねてきても、「お金を貸しますよ」「いい話がありますよ」などと言って近づいてくる者は明らかに怪しいので、きちんと警戒しておけば、うっかり口車に乗るということもないでしょう。

官報に載るリスクよりも、借金を放置するリスクの方が高いケースがほとんどだと思います。
このため「官報に載るのが嫌だから個人再生しない」という選択肢は捨てるべきでしょう。

官報に載っても、過度に心配することはありません。借金問題でお悩みの方は、できるだけ早く弁護士に依頼して、恐れずに個人再生に踏み切りましょう。

泉総合法律事務所では、個人再生を初めとした債務整理(借金問題)についてのご相談を、何度でも無料で承っております。

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